住宅ローンの名義変更は基本的に不可、では離婚した場合はどうする?

更新日:2025年3月
「自分が住んでいないのに住宅ローンの返済が続くの?」
「住宅ローンの半分は元パートナーが返済することになるけど問題ないの?」
住宅ローンを返済中の夫婦が離婚をする場合、このような疑問が生じることがあります。住宅ローンの債務者がそのまま持家に住み続けるのであれば問題はありませんが、住宅ローンを組んでいる側の人が家を出る場合や、ペアローンを組んでいる場合は、住み続ける人にローンの名義を変更したいものです。しかし、一般的に住宅ローンの名義変更はできません。今回は、住宅ローンを組んでいる夫婦が離婚をする場合に、名義変更以外で取れる対策について解説します。
目次
住宅ローンの名義変更は基本的に不可!
住宅ローンの場合、借主の名義変更は基本的にできません。住宅ローンは、契約者になる人の情報(収入、勤務先、他の借入状況)を審査した上で、融資可否や借入金額を決定しています。そのため、契約途中で審査を受けていない人に名義変更することはできません。
元々2世代に渡る返済計画でローン契約をする「親子リレー返済」等を除き、「子どもの就職をきっかけに親から子どもに住宅ローン名義を変更し、返済も子どもにしてもらうようにする」ということも原則は不可です。住宅ローン契約をするときは、名義変更ができないことを頭に入れておくようにしましょう。
離婚で住宅ローンの名義変更が必要な場合とは?
では、離婚で住宅ローンの名義変更が必要な場合はどうなるのでしょうか。例えば、夫婦二人がそれぞれで住宅ローンの契約を行う「ペアローン」の契約していて離婚をし、片方がその家に住み続ける場合、家を離れる人(転居する人)の残債が残ったままになります。この場合、本来は住宅ローンの名義をその家に住み続ける人にし、返済義務を1本化したいものです。しかし先述のとおり、住宅ローンの名義変更はできません。
あるいは、離婚時に転居する人の残債を完済してしまうという方法もありますが、多額の金融資産を保有していない限り、一般的に残債を一括返済するのはなかなか難しいことだといえます。仮に残債を一括返済できた場合でも、ペアローンには「夫婦お互いが連帯保証人になる」という条件が付されていることが多いため、連帯保証人の解除ができるかどうかも1つの確認事項となっています。実際に連帯保証を外す場合には、契約内容およびその住宅に住み続ける人の返済能力等で金融機関の判断が分かれる可能性があるため、住宅ローンを借りている金融機関に相談することが必要になります。
その家に住み続ける人がローンを肩代わりする方法
住宅ローンの名義変更ができない前提で検討するとすればその家に住み続ける人が、新たな住宅ローンで資金を調達し、転居する人の残債を完済する方法です。これによってローンは1本化されます。
ただ、現在の住宅ローンに追加して、別の金融機関で新たな住宅ローンを組むというのは審査の面で非常に難しくなることが考えられます。ペアローンを組んでいる方々は、元々2人の収入を合わせることでローンの返済計画を立てていることが多いため、1人の収入では、年間返済負担率が高くなりすぎてしまうことがあるからです。
年間返済負担率とは年収に占める年間返済額の割合のことで、金融機関が融資審査の際に判断材料とする重要な項目の1つになっています。年間返済負担率が高い場合は、審査に通りにくくなるばかりか、仮に審査に通ったとしても毎月の返済に苦しむことになりかねません。
また、住宅ローンの資金使途は「住宅購入資金」、「住宅ローンの借り換え資金(単独ローンから単独ローン、ペアローンからペアローン等の一般的な借り換え)」、「リフォーム資金」等となっており、離婚時にパートナーの残債を返済するための新規借り入れは、申し込みの対象外となってしまう可能性があります。
借り換えなら可能な場合もある
元パートナーの残債を引き継ぐこと自体に収入面の観点での問題はない、という方もいると思います。例えば当初住宅ローンを組んだ時よりも収入が増加しているケースです。その場合に可能性が残されているのが、離婚を対象とした住宅ローンの借り換えです。
SBI新生銀行では離婚に伴う借り換えについて、下記の条件を示しています。
【SBI新生銀行の離婚に伴う借り換えの条件】
- 物件の所有権を申込人の単独名義(または父母・子との共有)とすること
- 申込人が居住する不動産であること
- 審査の過程で離婚協議書等のコピーをご提出いただくこと
- 審査後に離婚後の戸籍謄本のコピーをご提出いただくこと
(出典)SBI新生銀行よくあるご質問Q「離婚に伴い、(元)配偶者の住宅ローンを引き継ぐことになりました。借り換えの申し込みはできるか教えてください。」の回答より引用
「元の契約はペアローンなのか単独ローンなのか」、「借り換え前の金融機関はSBI新生銀行か他の金融機関か」等、ケースによって回答が異なる可能性があります。離婚による借り換えをご検討の方は各金融機関へ直接お問い合わせください。
単独契約の住宅ローンの名義変更をしたい場合は?
「住宅購入時は片働きだったので夫名義で単独ローンを組んだが、今は妻にも収入があるため夫の住宅ローンを自分(妻)に名義変更したい」というケースがあると思います。その場合もSBI新生銀行のように、離婚時の借り換えを受け付けている金融機関に相談をしましょう。
離婚を理由に住宅ローンを借り換えする場合の注意点
ここで離婚を理由に住宅ローンを借り換える場合の注意点を挙げます。
【離婚を理由に住宅ローンを借り換える場合の注意点】
- 返済する人と居住する人は同じか
- 諸費用や借入条件は確認したか
- 借り換え以外の選択肢は検討したか
- 返済する人と居住する人は同じか
住宅ローンは「返済する人=居住する人」である必要があります。例えば、元夫が返済を継続し元妻が住み続ける、というのは契約上は正しくないことになります。
- 諸費用や借入条件は確認したか
借り換えによって生じる諸費用や借入条件も重要です。住宅ローンの借り換えの契約時には、再度事務手数料や登記関連費用等の諸費用が発生します。また、住宅購入時の借入金利と借り換え後の金利は異なる場合があります。借り換えは名義変更ではなく、以前の住宅ローン契約を完済により終了させ、新たな住宅ローン契約結ぶことです。そのため、諸費用の発生や借入条件の変更については留意する必要があります。
諸費用についての詳細はこちらもご確認ください。諸費用や手数料の内訳について詳しく解説しています。
- 借り換え以外の選択肢は検討したか
また、「借り換え以外の選択肢」も見落とさないようにしましょう。例えば住宅を売却しローンを完済するという手段もあります。住宅は修繕費用や固定資産税等の納税義務など、継続的なコストがかかる資産です。仮に離婚後に1人暮らしをする場合は、夫婦時代の住宅がコストの面でも広さの面でも大きすぎるということもあり得ます。夫婦それぞれが離婚後のライフプランを設計し、収支計画の面で無理のない選択をすることが大切です。
その他、借り換え時の注意点についてはこちらもご覧ください。
名義変更に関するQ&A
最後に住宅ローンの名義変更に関するQ&Aを掲載します。
-
住宅ローンの名義変更はできますか。
原則は住宅ローンの変更はできません。ただ、本記事で挙げた借り換え等の代替手段があることも事実です。また、債務者の変更を受け付けてくれる可能性が全くないとはいえません。実際には金融機関に個別に相談をしてみることをおすすめします。
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ローンが残ったまま名義のみ変更しても良いでしょうか。
不動産の名義は法務局で登記されています。そのため、銀行を介さずに物件の登記上の名義変更は可能です。しかし、金融機関から住宅ローンの契約違反と判断され、一括返済を求められる可能性があるため、住宅ローンが残っている状態での名義変更はおすすめしません。
-
Aさん(元夫)の住宅ローンをBさん(元妻)の親族Cさんが返済し、Bさんに不動産名義を移したい場合に気を付けることは?
AさんとCさんの不動産売買契約に該当する場合は、Aさんに譲渡所得による納税義務が発生する可能性があります。また、Cさんが買い取った住宅をBさんの名義に変更する場合は、Bさんに贈与税が発生する可能性があります。具体的な納税義務については税理士または税務署にお尋ねください。

えんどう こうじ
- CFP(R)
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。
本稿は、執筆者が制作したもので、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。
- 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
- 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
- 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。
当行では具体的な税額の計算、および、税務申告書類作成にかかる相談業務はおこなっておりません。個別の取り扱いについては、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご確認ください。
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[2024年11月1日現在]